コラム
本サイトの管理者である服部が、寄稿等行なったもので本サイトにも関連の深いものをご紹介いたします。 |
2.「人気のものづくり補助金を活用する5つのポイント」
税理士ドットコムPRO連載記事より(2016年11月配信)
4年目を迎えて、すっかり定着した感のある「ものづくり補助金」が11月14日より新たに公募開始されました(締め切りは平成29年1月17日)。
まだ活用したことがない事業者も多いようですが、新しい事業を立ち上げる際に、強い味方となるものづくり補助金5つのポイントを知って設備投資やサービス・商品開発に是非、活用しましょう。
ものづくり補助金について
現在のものづくり補助金は「ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金」という名称で平成25年2月から始まりました。その後、公募される度に名称が改められ、5回目となる今回は「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」と改められました。
基本的な仕組みや趣旨に大きな変更はなく、中小企業の「ものづくり」や「革新的サービス」における設備投資、試作開発を助ける補助金です。
Point1「応募資格」
ものづくり補助金に応募できる資格、個人、法人を問われませんが法人の場合は中小企業でなければなりません。
具体的には「製造業・建設業・運輸業・ソフトウエア業・情報処理サービス業」で「資本金3億円以下、従業員300人以下」、「サービス業や小売業」で「資本金5,000万円以下、従業員100人以下(小売業は50人以下)」といった具合です。法人成りしたてでも直近2期分の決算書の代わりに事業計画書と収支予算書を提出することで応募可能です。
Point2「補助事業の内容」
審査員に採択され、補助金を受けるためには、補助事業の内容が重要です。
まず、補助事業は採択発表(今回は29年3月を予定)の翌月か翌々月から12月末(小規模型は11月末)内に遂行しなければ、なりません。期間前に着手した事業の経費や、期間内に完了しなかった経費はすべて補助対象から除外されます。肝心の補助事業の内容は、「ものづくり」の場合「中小ものづくり高度化法」で定められている12種類の「特定ものづくり基盤技術」のいずれかに当てはまなければなりません。
「革新的サービス」の場合は、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」で定められている指針に沿った事業内容でなければなりません。,
また、3年から5年の計画で経常利益年率1%、付加価値額年率3%向上を実現できる計画とする必要もあります。なお、付加価値を上げるためには営業利益を上げる以外に従業者数や賃金を上げる、または設備投資を増やす方法があります。
Point3「補助金交付額」
今回のものづくり補助金で最も特徴的なポイントです。まず、これまで通りの一般型の上限1,000万円、小規模型500万円以外に、IoTやビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットを活?する内容については上限3,000万円となる「第四次産業?命型」が新設されました(IoTは前回より継続)。
さらに、一般型と小規模型の補助上限額が、雇用の増加(維持でも可)を実現し、賃金5%以上の引き上げ(最低賃金下位10%のみで計算しても支給額5%引き上げを実現)により倍額となります。あわせて最低賃金下位10%のみで計算した場合に支給額10%以上を引き上げる計画では、さらに1.5倍になります。なお、いずれも補助率は全経費の3分の2までとなっています。
Point4「審査の内容」
審査は主に事業計画の内容で行なわれますが、この採点項目は公開されています。具体的には、技術面として「自社の課題が明確で、革新的な計画で解決(方法が明確かつ妥当で優位性のある解決方法)」すること、「目標達成度が明確で、補助事業実施のための体制及び技術的能力が備わっている」こと、事業化面として「ユーザー、マーケットと市場規模が明確で、事業化に至るまでの遂行方法とスケジュールが妥当な費用対効果の高い計画」であることなどです。
その他、国の方針と整合性を持ち、地域経済と雇用の支援につながることや、金融機関等からの資金の調達が見込めるかも重要です。
Point5「審査の加点」
今回のものづくり補助金では、経営力向上計画の認定を受けている企業や、台風7、9、10及び11号の激甚災害企業、IT化の実施企業などを加点対象とし、優遇されることが明らかになりました。
経営力向上計画とは、平成28年7月に施行された「中小企業等経営強化法」に基づくもので、国が作成した業種別の「稼ぐ会社」の財務傾向(指針)を参考にして経営方針を定める計画書です。申請書は2ページ程度なので、年内に作成し申請しておけば、大変有利となります。
以上のポイントをしっかり抑えて、ものづくり補助金を有効に活用しましょう。なお、ものづくり補助金の詳細や応募様式は各都道府県の中小企業団体中央会HPで要領をご確認ください。